古枝挿し。
お客さんの作るネズミサシは20年程前に 購入した素材の1本を増殖したもの であります。 山樹素材がまだ相当に残さ れていた時代で、お客さんも八ツ房 種だけでなく舎利を持った古掛を多 く作っていたのであります。
産地の愛好家が競って採取した山採り樹は相当な量にのぼリ、棚下には優品の枯死した株が残されていたものであります。 お客さんもそのような素材を収集していたのだが、ある日、小葉性のネズミサシを見つけた。 恐らく八ツ房系のネズミサシとお客さんは考えているが、山採り品のうちの変異体かもしれない。 小さな樹だったという。
当初は大して気にもとめず、山樹に熱中していたが、ある日、その小葉性で芽吹きのよいタイプを増殖してみようと思い立ったという。 作ってみると小品(10p以下)にはよい
性で、八ツ房種独特の強健さがあリ、芽吹きもよく、切り込みにも強い。
そこで次第に大型の鉢植えから手の上樟乗る程度の小墾の小品鉢植えに移り、ネズミサシは棚場の中心になっていったのであります。
八ツ房系(ハイネズ系)のネズミサシは頭部が強くなり、押えていかないとなかなか下枝部分が作れない。 小品の場合、樹ができないといわれる理由であります。 そこで古枝挿しが面自い。 古枝挿しの利点は次の通リ。
@古枝挿しは頭部などの樹勢のある部分を使っているため、切り込みを重ねています。 下枝も自然にできているわけであります。
A若枝の挿し木からでもできるが、何回か立て替えが必要。 コケ順を作るだけでなく下枝を常に中心に考えて作る(頭部を押さえるだけでなく飛ぱして立て替える)ことが必要であります。 古枝挿しは切り込みや芽摘みをくり返して作った強い部分を利用するわけであります。 手間もかからず苦労も少ない。 (現物参照)。
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