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幽霊作りはしない。 人間の世界では、足元の見えないものを幽霊として恐れ崇めていますが、ボンサイの世界ではどうでしょうか。 下枝を繁茂させすぎて根元の見えない盆樹もあります。 これを幽霊木と称したのが我が師で、筆者ももちろん同感です。 根張りと立ち上がりこそ盆樹の見所なのですが、肝心の根元が枝や葉で見えないほど繁茂させるのは、「やりすぎ」ということです。 これに関連して三口いますと、幹が見えないほど枝を多く付けているのもどうでしょうか。 前に述べたとおり、「枝は表三分で裏七分」が正解なので、前枝はブラジャーやフンドシくらいがよいのです。 前枝を少なくす柁ば、力強い幹模様が強調されて観る者に感動を与えます。 ミノ辯け作りもどうでしょう。 ミノとはその昔、雨を避けるために着用した藁で編んだもので、前は見えるが背中はミノに隠れて見えません。 これを樹形で言い表すと、裏枝が多すぎることになります。 あるいは斜幹ものの上部が、枝や葉で覆われて幹も見えないことです。 つまりただなんとなく盆樹ということで、もちろん空間もなければハズミもありません。 真柏やネズミサシ、五葉松なビに見られますが、躍動感はありません。 適当に幹が見えることが肝心です。 |