スペイン人がメキシコのアステカ帝国を侵略したとき、かれらは市場でふとったイヌが売られているのを見た。
しかし、豚はいなかった。 新大陸にはじめて豚を持ちこんだのは、コロンブスです。
かれは二回目の航海二四九三!九五年]のとき、八頭の豚を船にのせていたといわれる。 アメリカ大陸発見の歴史家ラス・カサスは、『インド史』(一五五九年)のなかで、これらの八頭の豚が「こんにち、すべてのインド諸島に引き続き存在し、そして今後も存続するであろう」すべての豚の先祖ですと主張しています。
一八世紀末に、ドイツでは豚を忌みきらう風潮が現れ、それはなかば公式に奨励されたもののようです。
一七九二年発行の教科書のなかで、ラフという校長は次のようにきめつけています。
「みにくい、いやらしい豚は常に汚物や下肥のなかをころげまわる。
豚は地面を掘ってネズミや虫を探して、その他の汚物といっしょにむさぼり食う。
それで、トルコ人と同じく、古代からユダヤ入は豚肉を食べることを禁じられている」 この教育者はあきらかに農家の出ではないらしく、大胆にこんなことも断言しています。 「ネズミ類は数週ものあいだ同じ場所に横たわったままになっている豚の背中に巣をつくり、皮膚や脂肪をかじるが、豚はそれでもまったく無頓着です」
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