豚の不潔な習性は非難の的ではあったが、いっぽうでその肉はたいそう珍重された。
のちに・悪魔は好んで雌豚に変身するとい・つうわさが流れたので、屠殺される豚は、土地のところへ連れてゆかれた。
すると、悪魔祓いは短いおごそかな儀式ののち、その豚に「悪魔のお祓い済み」を宣言したといわれる。
このことは、ちょうど現代の獣医や検査員が屠殺した豚の旋毛虫病の有無を調べてから、販売許可のスタンプを押すのと似ています。
一五世紀に、オランダ人に続いてポルトガル入の探検家たちがこんにちのインドネシアにあたる島じまをはじめてたずねたとき・ボルネオ、ジャワやスマトラの原住民たちが、ヨーロッパ種とはたいそう異なる豚を飼っているのを見ておどろいたものです。
ジェームズ・クック[通称キャプテン・クック。
一七二八-七九年]やそのほかの太平洋諸島の探検家たちは、ポリネシア人も豚を飼っているのを発見した。
そこでは実際に豚とイヌだけが家畜であり、イヌも豚のように食用に飼われていた。
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