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実を付けるためには、チッソ・リンサン・カリなどの肥やしに気を配ったり、幾分根詰り気味の方法も大切である。 当時中心となったのは大実であり.庭木などから取り木して作り込まれたと恩われる。 時代物の風情ある名樹も数多く出廻り、一段とにぎやかなものであった。 庭木と言えば麹町のさる豪邸の玄関先の馬車廻しの中へ植えられた.ザクロの樹容と美 事にハサミの入れられた枝先の美しさはザクロの事を思うたび、現在でも頭に浮かんで来る。 樹肌については、時代面から幾分不満の点も見られたが、荒皮性やイポ幹なども現われて来た。 何といっても一世を画したのは、捩幹の出現であり、それは大実からの変種と言われ 大実の性格をそっくり受け継ぎ樹勢は強く、幹や枝が顕著に左に捩れ、若くして時代を現わし、それが風格を示し雅趣を深め、寒樹の相は深く寂びを示すことである。 捩幹は多肥を好むものであり、仕上がりも早いために一躍我が家の鉢植え界の寵児となり、有力者からも謬められ、入札価格の記録を次々と更新して行ったのである。 産地の名古屋地方では畑作りの促成物も作られ、次第に一般にも行き渡るようになった。 |