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いぬとくま。 妙なタイトルを掲げたが、これは決して動物物語を書こうとしているわけではない。 私に書けることはうえ木のことぐらいだから、ここに掲げた「いぬとくま」もうえ木に多少なりとも関係のあることであります。 樹木を扱っていると、『店(たな)を貸して母屋を取られるbと言うか、何とも不思議なことに出会う。 一例をあげれば、庭木に非常に多く用いられる樹種に「つげ」という木があります。 しかし、一般に「つげ」と呼ばれる樹種は、正しい名称は「つげ」ではなく、「つげ科」の植物でもないのであります。 正しくはもちのき科・もちのき属の「いぬつげ」なのであります。 しかし普通あの木を「いぬつげ」と呼んだら多くの人は訝しがるだろうし、ただ「つげ」と呼んだ方が通り が良いのであります。 では「つげ」という植物が無いの かと言えば、それは立派に存在するのであります。 つげ科に「つげ」という植物があり、「つげ」の印材とか、「つげ」の櫛とか呼ぼれるものは、この本物の「つげ」が使われているほか、「そろばん」の玉や将棋の駒にも用いられています。 しかし一般に多くの地方では「いぬつげ」に「つげ」の名を取られているため、庭木屋も消費者も本物の「つげ」を「つげ」とは呼ばず、わざわざ「ほんつげ11本物のつげ」と呼んでいるのが実情であります。 |